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  • 畑村 洋太郎: 失敗学のすすめ

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そんなたいそうなことはしておりません

外科医(もしくは医者)になって特に感じるのは、患者さんを救っている、とか、命を助けている、とかあまり感じずに日常業務をこなしているということです。よく、医者を志している理由として「病で困っている人を一人でも救いたい」といっている学生がいますが(私もその一人だったのですが)、実際なってみるとそんなおこがましいことは口にできません。
もちろん外科医ですから、手術で腫瘍を取り除いたりしますが、「治してやった」という達成感はあまりありません。
マーフィー、欲望が100%かなう一番の方法 J・マーフィー著(知的生きかた文庫)に書いてありましたが、「医者が患者に包帯をし、神が患者を回復させる。この神とはあなた自身のなかにある無限の力です」、さらに「外科医は外科手術で腫瘍を切開し、病根を取り除きます。しかし元気な体を取り戻すという本当の治癒は、あなたの内なる力によらなければならないのです。」というのはまさにそのとおりだと思います。
癌を取りきったあと、その人が本当に元気になったかはその後の本人の生活が元通りになったことを意味し、逆に手術で悪いところをすべて取り除いても、生活の質を落すようになれば何のために手術したのかわからなくなってしまいます。いわゆる「Quality of life」ですが、その人が元気になる手助けはしてあげられるが、その回復には本人の意識や努力によるものだということです。ですから、あまりなおしているという実感はありませんし、「助けてくれてありがとうございました」と患者さんから言われても、照れくさいし、「そんなたいそうなことはしていません、あなたが元気になろうと努力してくれたからです」と心のそこから言えます。
逆に、今まで手術はうまくいきましたが、結果的に生活の質を落としてしまい、命を縮めてしまったという経験を積み重ね、日々反省することしきりです。
80歳を超えて胃癌の手術をし、そのためにご飯が食べれなくなり弱ってしまった、なんてことはやはり避けなければなりません。
高齢化社会になるにつれ、手術をすべきかどうか?やみくもに癌に立ち向かうことがいいことなのか?外科医であるのに、いや、外科医であるからこそ、そんなことを良く考えています。