あけるべきか?あけざるべきか?
日曜日、イレウスの患者さんが入院しましたが、全身状態が悪く、腎機能も悪かったので造影検査ができず、診断がつきませんでした。手術しておなかの中を見たかったのですが、麻酔をかけられるかどうか、麻酔をかけただけで心停止を起こすのではないか、手術に耐えれるかどうか、などいろんなことを考えました。
もともと脳梗塞があり、日常生活が達者であるほうではなく、おなかを開け、原因を解除するという手術を乗り切ったとしても、後の術後管理でもつかどうか、もしくは将来的に精神状態悪化や寝たきりになるのではないか、などなど患者さんのご主人といろいろお話しましたが、結局、「診断がはっきりつかないままなくなられるくらいなら、手術してすっきりしたほうがいい」とのご主人の言葉で手術に踏み切りました。
あけてみると、腸間膜が締め付けられ、腸が壊死に陥っている(腸が腐っている)という絞扼性イレウスという状態でした。
何とか術中も乗り切り、開けて正解なのですが、今後の管理が大変です。ただ、結果がすっきりしたので、後は万事をつくし、祈るのみです。
手術をすることにより、命をちじめることをやはり危惧しますが、それにより二の足を踏むこともある可能性があります。現在の医療事情では、リスクのあることには手を出さない、といった萎縮医療になる可能性があります。もちろん、迷った際には、家族の心情を考え、誠意を尽くすことが第一です。できないと一刀両断にすると患者家族の感情を逆なでし悪い結果を招くこともあります。
今はよかったと思いますが、こういった診断や治療方針に迷う症例が最近増えてきたような気がします。やはり高齢な患者が増えてきて心疾患などの重篤な基礎疾患を有する患者が増えてきたことも一因です。
患者家族にとって何が大切か、何を望むか、医療サイドとしてどう進めるかなど難しい局面が日常診療にはあります。
いろんなことを考えされられた症例でした。まだこれからの成り行きがどうなるか心配ですが....。
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コメント
お疲れ様です。手術は弱虫の行う事ではありません。手術そのものはやって良かったのですから、、、、頑張って下さい!!上手く行くよう南の国からも祈っています!!
The ICU Bookと言う本があります。その中に気管挿管の適応と言うのがあります(3版ならばP.461)。是非参考にして下さい。気管挿管を手術と置き換えても良いです。飲み会、学会、気になる女性からのお誘い、、、、院内の会議、全てに当てはまります!!
The indication for intubation and mechanical ventilation is thinking of it.
Intubation is not an act of personal weakness.
Initiating mechanical ventilation is not the "kiss of death."
投稿: Kim | 2009年11月11日 (水) 14時54分
う~む。「弱虫」になっているのは、何よりもまず「自分」であったことに深く反省しているところです。
結果だけをみれば、至極当然なのですが、そのときは何らかの理由をつけてマイナス方向に行っていたのかもしれません。
家族から言われることは余りありませんが、症例検討会などで結果だけを見て、「開けるのが遅いのでは」とか「unnessesary operation」だとか言うやからがいると、頭にきます(現場を診ない医者です)。
投稿: surgeon K | 2009年11月12日 (木) 06時47分
確かに、こんなオペやる必要なかったと言う人がいますよね。
無視無視!!です。
本当の事は、患者さんとご家族、担当医の間でしか分かりません!!
セオリー道理でなくたって、実際の診療とは異なることも多いです。
投稿: Kim | 2009年11月12日 (木) 08時55分
ありがとうございます。
何が正解か?は後になってみてわかることも多いです。
救急の難しさを改めて感じます。そんな中で生きているKimさんはわれわれからみると尊敬に値します。
投稿: surgeon K | 2009年11月12日 (木) 15時01分