言葉につまること
病状の説明で、癌の末期で治療の手立てがなく緩和的治療をおこなっているとき、患者さんに今後の見通しを話すとき言葉につまることがあります。
癌の末期で手の施しようがないことはさすがにいえず、モルヒネ等で症状を緩和していき、苦痛ないように過ごさせていく段階で、本人がまだ自覚がなく、将来的な展望に不安を覚え私に聞いてくる場合です。
癌でかなり厳しくなってきていることは本人が一番よくわかっており、あえて主治医に今後の見通しを聞くことは死を宣告されるのを覚悟する場合か、まったく自覚がない場合です。
多くの患者さんはあえて聞かず「自分だけは違う」と心の中で思っているようで、あえて聞きませんので、こちらもあえて予後について話さないわけです。
胃がんで手術して再発し、癌性腹膜炎になったまだ30代の患者さんがいるのですが、癌性腹膜炎のため小腸が多発性の狭窄をきたしており、減圧のためのチューブ(イレウスチューブ)が抜けません。
病室に行くたび「いつ抜けますか」と聞かれるのですが、「もう今後抜けません」とはいえず、言葉を濁しながら「抜けるようにいろいろ頑張ってみましょう」と話すしかありません。
医者のことばは自分が思っている以上に重みがあるもので、デリケート患者さんには特に一言一言に気をつけないといけません。
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