以前、「家族の思い」「家族の思い2」で紹介した患者さんが、地元での治療を希望され、また、当院に、こんどは救急車搬送で大学病院から戻ってきました。
気管切開をして、片肺の気道は確保されていた状態でしたが、唾液が気管内に流れ込み、頻回に吸引をしないとすぐに呼吸が悪くなる状態でした。
肺炎を合併すれば致命傷になる可能性が高かったので、放射線照射のみの治療でしたが、なかなか呼吸状態が改善せず、逆に、次第に悪化していき、意識もおちていきました。そうこうしながら何とか治療は継続してできていましたが、先日、昼間に気管に露出していた腫瘍が破裂し,気管口から出血、見る見るうちにチアノーゼを来たし、10分ほどで亡くなられました。
こうなることは予想はしており、ご家族にも十分説明しておりましたが、いざとなるとやはり現実を受け入れることは困難であったようで、奥さんが取り乱される姿が印象的でした。
こうして急変されたり、急になくなられたりされた方を目の当たりにすると、結果は仕方ないとしてもそれまでご家族の方に十分な手を尽くしたのかと自問自答することがよくあります。この方の場合、早急に大学病院が引き受けてくれて、さらに治療の限界やリスクについて大学からも説明があったために、そういう事態になっても、何とかご理解が得られたのではと思いますが、ついつい忙しいのにかまけて、こうした説明やケアがなされないまま、急変されると、家族からの心象がわるくなり、不信感を募らせてしまいます。
昨日も他医で手術された乳癌の方が再発され、末期状態でありましたが、あちこちの在住のご家族の方々をよんで「末期状態で1週間くらいしか持たないでしょう」といったその4時間後に急に息を引き取りました。もちろん急変のこともお話していたので問題はなかったのですが、「まさかこんなに早く」と思うことはいくら経験を積んだ医師でもよくあることで、こればっかりは神ではありませんので、「だいたいの目安」でしか予後の予測はできません。
だいたい思っていた期間より短めに話すのが常ですが、それ以上に短い場合もよくあることで、そうならないうちに十分に説明し、ご家族に受け入れをしてもらうことも重要です。
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